5月3日(憲法記念日)のゴー宣道場のテーマは
勿論(もちろん)「憲法」。
この日には毎年、護憲派・改憲派がそれぞれ集会を開いて来た。
しかし、果たして護憲派は、何を目指しているのか。
彼らの願いは叶(かな)っているのか。
もとより憲法9条それ自体(更に憲法の全条文)は、
これまで僅かな変更もなされていない。
しかし、それで護憲派は満足なのか。自衛隊という軍事組織が存在し、在日米軍と共に、
アメリカの国際軍事戦略の一翼をも担いつつあるという
現実に対して、憲法がほぼ無力である現実をどう見ているのか。一方、改憲派はどうか。
保守派の“希望の星”とも見られていた現職の首相が以前、
改憲派の集会で映し出されたビデオの中で、期限にまで
言及して改憲への気運を高めようとした…が、
結局、空振り(つまり安倍前首相の人気取りだけ)に終わった。
現在、憲法を巡って、真に問われるべき“焦点”は何か。
それは、憲法は今、本当に「生きて」いるのか、
果たして最高法規としての規範性、理念性を保持できているのか、
という根源的な問いかけではないか。いくら“文字面”だけを「死守」しても、或いは逆に「改定」しても、
憲法としての“命”が既に喪われているのであれば、全く無意味だ。
そこを問う場を設けたい。その際、具体的な手掛かりとして、差し当たり3つの論点を考えている。
コロナ禍と自衛権と天皇。
先ず、コロナ禍における政府・自治体の様々な措置と憲法との
整合性が、真正面から問題視される場面を殆(ほとん)ど
見掛けなかった。
そのこと自体、憲法の規範性が衰弱している表れではないか。次に、憲法と自衛権の関係については、護憲派も改憲派も
どちらも“欺瞞的”である点では、五十歩百歩のように見える。
護憲派が、もし自衛隊違憲論を撤回しないならば、
自衛隊の解体を主張するか、憲法改正を唱えるべきなのに、
どちらにも踏み込まない。一方、改憲派の多くは、安倍氏が9条(戦力不保持、交戦権否認)を
維持(死守?)して、ただ「自衛隊」という語を書き加えるだけの
提案をした時に、それが自衛隊を「戦力」未満の“非軍隊”としての
地位に永遠に縛り付けることを意味するにも拘(かかわ)らず、
これに賛成した。
憲法を巡る欺瞞もここに極まったと言うべきだろう。更に、憲法は皇位継承の具体的なルールを皇室典範に委ねている。
だが、その典範のルール自体が、憲法が要請する「象徴」天皇の
地位の「世襲」継承を“阻害”する内容になっている。
驚くべき矛盾だ。ところが、その顕著明白で深刻この上ない矛盾が、
今日までそのまま放置されて来た。
憲法は皇位の安定継承を求めている。
それを前提に、統治の基本的な仕組みが全て構想されている。
なのに、憲法から名指しで委任されている典範が、
その安定継承を困難にしている。
これも憲法の規範性への重大な脅威だろう。この“捩(ねじ)れ”を解かねばならない。
よって、5月道場のタイトルは以下の通り。「憲法は今、生きているかーーコロナ禍、自衛権、天皇」。
ゲストに憲法学者で慶應義塾大学教授の横大道聡氏、
元防衛大臣の稲田朋美衆院議員、国民民主党・憲法調査会長の
山尾志桜里衆院議員を予定している。チーフプロデューサーは倉持麟太郎弁護士。
充実した討議が期待できそうだ。
乞うご期待!【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/
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